離婚コラム | 東京新宿の離婚・慰謝料請求相談

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調停委員の当たり外れ

離婚について話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の「調停」を利用することになります。

「調停ってそもそも何?」というところですよね。

多くの方にとって、離婚の調停を利用する機会って生涯で1回あるかないかでしょうし、多くても3回…行くかな?

ただ、わたしは仕事上調停の場に出頭するので、結構調停委員の「あたりはずれ」ってあるなぁ、と実感しています。

 

調停委員は、通常、少なくともわたしが担当したものについてはすべて、男性1名、女性1名、という構成です。

あなたが調停を起こす場合、あなたは「申立人」、仮にあなたが調停を起こされた場合は「相手方」という立場になります。

あなたがわたしに依頼をして、離婚の調停を申し立てたとしましょう。令和2年6月の某日、○○家庭裁判所の「申立人待合室」にて呼出しを待っています。

すると、調停委員の片方が、「○○さん、調停室に御越し下さい。」と声をかけます。

その調停委員のあとをついていくと、調停室にはもう片方の調停委員が待っています。

調停委員は、元々一般企業の会社員でした、とか、福祉の世界で働いていました、というような一線を退いたような人もいれば、弁護士の傍ら非常勤で調停委員やっています、という人もいて、バックグラウンドは様々。そしてキャラクターも様々なんです。

また、調停、というのは、ご本人同士が調停、つまり合意に至るのを手伝う、というポジションなので、裁判官が判決でズバッと結論を決める、というような権限もありません。

なので、まずはお互いの話を聴いて、歩み寄れるポイントがあるか探る、そういうポイントがあるなら、「こういう条件で離婚してみたらどうですか?」とか相手のほうに打診してくれたりします。

ただ、ご本人同士が歩み寄るのを手伝う、ということは他方で、「本人同士が納得するなら何であれ事件としては解決」→「声の小さい方を強めに説得して調停まとめちゃおう」という姿勢の調停委員もちらほら。

調停が始まってから当事務所にご相談に来られた方も、婚姻費用の相場からいったらせいぜい10万円を支払えば十分というようなご収入なのに、12万円払えよ、というプレッシャーをかけられてしまい、それに応じてしまいました、ということも…調停は、もちろん弁護士への依頼がなくても手続をとることはできるのですが、調停委員から無茶な提案をかけられているかどうか、一般の方にはわかりづらいので、やはり、こういう案件は相談だけでもご検討いただきたいところですね。

今お伝えしたように、調停委員の都合でごり押されるというのも外れだな、と思うのですが、一方で積極的な姿勢が見られない調停委員も、すみません、正直外れだなって思います。

わたしのほうから、「相手が一番大事にしたいポイントはここだと思うし、ここについては最大限考慮するので、この点については相手にも譲歩するようにアプローチしてくれませんか?」などと働きかけを通常します。それに対して、

「調停委員は中立の立場ですから、そういう説得とかはできないです」

…うーん、いいたいことはわかりますよ。でもそうだとしたらあなたがこの場にいる意味って何なんですか!?中立な立場でこちらいっていることをそのまま伝えるってだけなら、ICレコーダでも調停室に置いて、相手に聴いてもらうのと何が違うのでしょう?ご本人同士では解決がつかないから調停の場に来ているという自覚をもってほしいなと思うわけです。

反対に、弁護士の目からみても、「落としどころがわかっているな」という調停委員は当たりです。もう、ものすごく話が早いです。

「養育費は○○ですね」←相当額。これから外れる主張は通らない可能性が高いとはっきり説得してくれる、という調停委員の方だと解決までのスピード感が違います。

あと、あたりの調停委員は、無駄に調停を長引かせないので、次の段階、離婚訴訟に速やかに移行できるのものいいです。

まあ、要は離婚事件の実情についてよくわかっている弁護士と似たような筋読みをしてくれる調停委員はありがたい、という身もふたもないコラムでした。

 

弁護士渡邉祐亮

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