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離婚事例紹介

夫の刀剣所持を占領軍に告発した行為が重大な侮辱であるとして離婚が認められた事例

裁判例の紹介

今回紹介するのは、最判昭和27年6月27日(判例タイムズ22号44頁)です。

事案の概要

「占領軍」とあるよように、戦後間もないころの離婚のケースです。

夫婦間のいさかいが生じ、離婚を求める妻が、妹の夫とともに夫を訪ね、夫に対して離婚を申し入れるとともに、衣類等の引き渡しと今後15年間の生活費等を支払うように要求しました。

夫が離婚の責任は妻にあるから、という理由で要求を拒絶したので、妻側は、夫が所持している刀剣類のことを占領軍に告発するぞ、と夫を脅したという事例です。

ちなみに、夫は銃刀法及び食糧管理法違反で罰金4000円となりました。

夫はこのような妻の行為を夫に対する重大な侮辱であるとして離婚の裁判を起こしました。

旧民法の適用

なぜ、重大な侮辱という主張になったのかは旧民法にあります。

このケースは旧民法下のケースだったのですが、旧民法813条では、夫婦ノ一方ハ左ノ場合ニ限リ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得とし、同条5号で重大な侮辱をあげていました。

現代でこれを離婚原因として主張するのであれば、妻が夫を告発したのは婚姻を継続し難い重大な事由だという主張になるでしょう。

裁判所の判断

けっこう悩ましいケースではあるのですが、裁判所は、次のように判断して離婚を認めました。

夫の犯罪に関しては、もともと夫に罪責があるとはいえ、いやしくもまだ夫婦で有る限り夫婦道に違反し夫の名誉もしくは面目を著しく毀損するものであって、重大な侮辱にあたる、と判断しました。

夫婦道ってなんやねんと思われるかもしれませんが、このへんは戦後間もない頃の価値観ゆえですね。

それでは、夫婦の一方の犯罪を告発してはいけないのか

裁判所はこのように、時代相応の判断を下しましたが、現代でこのような判決をだせば時代錯誤として大いに批判されるでしょう。

夫もしくは妻の一方が犯罪を犯したら、それを匿わないといけないのかというと現代ではそんなことはありません。

夫もしくは妻が犯罪を犯したら容赦なく告訴もしくは告発するのがむしろ現代の正義感覚にあうのではないでしょうか。

現代ではこのようなケースで離婚が認められるか

ただ、このようなケースでは、現代でも離婚が認められないかというと、おそらく離婚は認められるでしょう。

ポイントは、妻が夫に対して、離婚を求めたのと離婚での有利な条件を獲得するために、刑事告発を武器として使っているという点です。

こんなのはただの脅しであり、こういった脅しをかけて、実際に受け入れられなかったら刑事告発までやっておいて、離婚訴訟の場では離婚する気はありません、というのはそうそう通りません。

夫婦の一方を刑事告発したからイコール離婚が認められるというのではなく、もはや妻側にも婚姻関係を継続する意思がないことが明らかです。

ここまでやっておいて離婚訴訟の場ではやっぱり婚姻関係を継続したいです、と言うのはあまりにもおかしいですし、婚姻を継続し難い重大な事由にあたると判断されるでしょう。

ちなみに、すべての告発が「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるわけではありません。

たとえば、夫もしくは妻の更生を望んでの告発であれば、裏切りでもなんでもありませんから、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとは認められないでしょう。

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