離婚コラム | 東京新宿の離婚・慰謝料請求相談

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別れさせ工作は違法か

離婚のハードルが高すぎて別れさせ工作に頼る人が増えている

離婚をするためには、原則として夫婦双方の合意が必要です。

離婚の合意が得られない場合には、婚姻を継続し難い重大な事由がある場合(たとえば、浮気や暴力、長期間の別居など)でなければ離婚が出来ません。

浮気の証拠を抑えるために、探偵を使うという方はしばしばいます。

探偵を使って浮気の証拠を抑えることが出来れば、これは非常に効果的です。

ただ、当然ですが、配偶者が浮気などしていない場合には、離婚は困難です。

このように、離婚のハードルが高すぎるがゆえに、探偵を使って配偶者に対して異性をけしかけ、別れさせようとする、別れさせ工作をする探偵業者が増えてきているようです。

別れさせ工作は違法か

このような別れさせ工作をしている探偵業者は、たいてい「合法です」と宣伝しています。

その根拠の一つとして、大阪地判平成30年8月29日を根拠としている業者がいます。

しかしながら、これをもって、別れさせ工作が「合法」とするのは誤りです。

産経新聞は、接触は食事のみ、自由意志…「別れさせ屋」に適法判決 大阪地裁控訴審などというとんでもないタイトルをつけた記事をあげていますが、このタイトルも大きな間違いです。

そもそも、この裁判例は別れさせ工作を依頼した人間が、別れさせ工作なんて公序良俗に反しているから支払わない、と言い訳をしたものにすぎません。

「違法」と一言で言ってもレベルがあります。

公序良俗に反する契約は無効となりますが、公序良俗に反する契約というのは、違法の中でもかなりレベルが高い(違法性が高い)ものです(たとえば、奴隷契約や利子を1日10%とする金銭消費貸借契約など)。

ちょっと長いですが、裁判所は次のように判示しています。

「本件契約等の目的達成のために想定されていた方法は、人倫に反し関係者らの人格、尊厳を傷付ける方法や、関係者の意思に反してでも接触を図るような方法であったとは認められず、また、実際に実行された方法も、工作員女性が対象男性と食事をするなどというものであったというのである。これらの事情に照らせば、本件契約等においては、関係者らの自由な意思決定の範囲で行うことが想定されていたといえるのであって、契約締結時の状況に照らしても、本件契約等が公序良俗に反するとまではいえない」

「公序良俗に反するとまでは言えない」から違法ではない、と解釈をしたであろう産経新聞は大きな間違いです。

むしろ、違法、もしくは違法の可能性があるが公序良俗に反するとまではいえないと解釈できます。

私見とすると、別れさせ工作は違法になる可能性は十分にあります(破棄されていますが、大阪簡易裁判所平成27年11月9日判決は、公序良俗に反するとまで判示しています)。

上記大阪地判は、実際に実行された方法は、工作員女性が対象男性と食事をするなどというものです。

結果として、その対象男性は当時の交際女性との間の交際を終了していますが、果たしてこの程度で離婚をするところまでいくでしょうか。

上記大阪地判は、想定されていた方法は、人倫に反し関係者らの人格、尊厳を傷つける方法であったとは認められないから公序良俗違反とまではいかない、としましたが、婚姻している夫婦を別れさせるために例えば肉体関係を持った、その写真を撮ったなど、決定的な方法までやれば公序良俗違反として無効となる可能性が高いでしょう。

さらに、別れさせ工作を仕掛けられた方からは、別れさせ工作を仕掛けた人間に対して慰謝料請求がされるおそれがあります。

たとえば、夫が妻と別れるために別れさせ屋などを使って、妻に対して男性をけしかけたということが発覚すれば、夫は有責配偶者となる可能性が高いでしょう。

別れさせ工作の費用相場

事例は少ないですが、裁判例をみる限り着手金80万円~90万円、成功報酬40万円~45万円のようです。

別れさせ工作なんてものにお金を使うのであれば、そのお金は解決金にあてるべき

離婚をするために別れさせ工作を依頼しても、肉体関係をもつなどの手段は期待できません。

食事をするなどして、ターゲットに恋愛感情を抱かせて、離婚の後押しをするといった程度でしょう。

成功するかもわからない(というか、多くのケースでは効果はないのではないでしょうか)、その程度の行為で80万円~90万円も支払うのはばからしくありませんか。

そんなことに費やすお金があれば、相手に差し出して正々堂々と離婚を求めるべきです。

離婚を求められたが拒否する、というケースはたいてい、相手も気持ちの上では別れたがっています。

ただ、相手を許せないから、もしくは、経済的に困窮するおそれがあるから離婚に応じないとしている程度のケースが多いです。

無駄になる可能性がある別れさせ工作に費やすお金があるのであれば、そのお金を材料に離婚交渉をしたほうがよっぽど有益です。

テレビ局は別れさせ工作をもてはやすことを厳に慎むべき

これは声を大にして言いますが、テレビ局は面白がって別れさせ工作を取り上げることを厳に慎むべきです。

テレビ局が取り上げれば「お、そんな便利なものがあるのか」と安易な気持ちで利用しようとする人が増えることになります。

どうしても取り上げるのであれば、最後に、弁護士のコメントなどで違法である、もしくは、違法の可能性が高い、などとして抑止をすべきです。

少なくとも、産経新聞がしたように判決内容を誤解して、別れさせ屋は適法、などと公共の電波を使って宣伝するのはモラルの崩壊を招きかねません。

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