仕事を理由にほとんど帰宅しない夫との離婚
裁判例の紹介
今回紹介する離婚事例は、大阪地判平成43年6月27日(判例時報535号56頁)の離婚事例です。
夫が仕事を理由に出張や外泊等で、月数回程度しか帰宅しなかったという事例になります。
夫婦には同居の義務がある
婚姻関係を持った夫婦には同居する義務があります(民法752条)。
正当な理由なく、同居義務の履行をしない場合には離婚原因になりえます。
裁判所の認定
裁判所は、婚姻関係破たんの原因は、たとえ仕事のためとはいえ、あまりに多い出張、外泊等家族をかえりみない行動により、妻に対する夫としての同居協力扶助の義務を十分に尽くさなかったことにあると断じて妨げないとして離婚を認めました。
なお、悪意の遺棄というものもありますが、裁判所は悪意の遺棄に当たるとするにはやや足りないとして、悪意の遺棄にあたるとは認めませんでした。
まとめ
・夫婦には同居協力扶助義務がある
・仕事が理由でも、月に数回程度しか家に帰らないというのは同居協力扶助義務違反になり、婚姻関係が破たんしたら離婚が認められる