夫もしくは妻が犯罪を犯したら離婚できるか
どういった場合に離婚ができるのか
まずは簡単にどういった場合に離婚ができるのかについて解説します。
離婚の方法には大きく分けて2種類あり、一つは協議離婚というものがあります。
協議離婚であれば、離婚原因は問いません。
どういった理由であっても、もしくは、理由なんて何もなくても、夫婦二人で協議して離婚しましょうと合意すれば離婚できます(ただし子供がいる場合には親権をどちらがもつか決めなければなりません)。
犯罪者と一緒にいれませんと言って、相手方も離婚に同意してくれれば離婚できます。
もう一つの方法は、裁判離婚です。
協議離婚が不調に終わった場合には、まずは家庭裁判所で調停をし、調停をしても離婚が成立しないのであれば、訴訟で離婚を求めることができます。
訴訟では、簡単に言うと、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められれば、一方が離婚を拒否していても、強制的に離婚することができます。
犯罪行為は離婚原因になるか
それでは、夫もしくは妻が犯罪を犯した場合に「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められるでしょうか。
犯罪行為は「婚姻を継続しがたい重大な事由」があり、離婚できると考える方が多いでしょうが、犯罪といっても重いものから軽いものまで様々なものがあります。
たとえば、(さすがに最近はなかなか見ませんが)立ち小便をすることも犯罪です。
夫が立ち小便をしているところを目撃すれば愛情もさめてしまうかもしれませんが、さすがにそれだけで「婚姻を継続しがたい重大な事由」アリとはならないでしょう。
少なくとも裁判所は、犯罪行為=「婚姻を継続しがたい重大な事由」アリとは考えていないので注意してください。
どういう犯罪行為が離婚原因になるか
それでは、どういう犯罪であれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」アリとなるでしょうか。
たとえば強姦であれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」になると考えられます。
この場合には不貞行為+犯罪となりますし、示談が成立しなければ高確率で実刑となります。
実刑となれば長期の別居期間ができますので離婚もできるでしょう。
ただ、性犯罪だからイコール離婚できる、というものではありません。
たとえば痴漢、それも初犯であれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとまでは言い難いでしょう。
このほか、重大犯罪で長期の受刑が予測される場合にも「婚姻を継続しがたい重大な事由」となると考えられます。
離婚を求める場合にはまずは協議を
犯罪を犯して捕まっている人は自身の愚かな行為を反省している人が非常に多いです。
そのため、協議離婚を求めれば応じる、という方がほとんどでしょう。
すぐに調停なりにするのではなく、まずは協議離婚を求めるのが無難でしょう。
訴訟で離婚を求める場合には犯罪行為プラスアルファの主張立証をしよう
犯罪行為それだけで「婚姻を継続しがたい重大な事由」アリとなるものもありますが、それだけでは足りないケースもあります。
こういった場合には、犯罪行為一本で戦っていこうとするのは危険です。
訴訟で離婚を求める場合には、この犯罪によって婚姻生活にどのように影響を与えたか、愛情の喪失があったか、反省しているか、犯罪以外に相手の許せない点はないかを検討し、きちんと主張立証を行っていくべきでしょう。