女性側の離婚戦略
女性側の意味
女性側の離婚戦略というタイトルの記事ではありますが、日本では男女平等が原則です。
女性だから離婚で有利もしくは不利というわけではありません。
女性であっても、以下のようなパターンに当てはまらない、という方は男性側の離婚戦略のページをご覧ください。
ここでいう女性側とは、
- ・無職もしくは配偶者と比べてかなり収入が少ない
- ・配偶者よりも資産が少ない
という方を想定しています。
親権を獲得するには
親権を獲得することを目標とした場合、女性側は有利です。
とはいえ女性という性別だから有利というわけではありません。
母性優先の原則というのがあり、さすがに授乳時期にある乳児であれば例外的に女性が強いですが、乳児を過ぎると原則は男女平等です。
乳児期を過ぎた後子どもの親権獲得のポイントは大きく3つです。
- ・別居しているのであればどちらと一緒にいるか
- ・同居しているのであればどちらがより子どもと一緒にいてあげられるか
- ・子どもが大きいほど子どもの意思も重要になる
女性側が強いというのは、無職もしくは配偶者よりも労働時間が少なく、より子どもと一緒にいてあげられるからです。
親権でよくある主張は自分のほうが収入があるから子どもを育てられる、という主張です。たしかに子どもを育てるのにはお金がかかり、経済力は重要です。
ただ、稼いでいるというのであればその分多く養育費を支払えばいいだけじゃないですか、となるだけです。
子どもの生育環境を考えた場合、親と一緒にいられる時間の長さというのはそれだけで大きなアドバンテージです。
なお、女性側がいくら親権獲得の面で強いといっても子どもの連れ去りには注意が必要です。
よほどの事情がない限り、何の断りもなく子どもを連れて別居を開始するべきではありません(これをやると養育費にも影響します)。
また、反対に相手が子どもを連れて出ていくことにも警戒すべきです。いくら女性側が強いと言っても、配偶者が子どもを連れて別居することを認めると一気に不利に立たされることになりますので注意してください。
別居するかどうかを考えよう
離婚をする場合、まずは別居するかどうかを検討すべきです。
別居を開始した場合には婚姻費用を請求できるのが原則ですが、子どもがいない場合の婚姻費用はそれほど高くありませんので注意してください。
婚姻費用の相場については以下の裁判所URLをご参照ください。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
別居先として検討すべきはまず第一に実家でしょう。
多くの方がまずは実家に帰って別居するという方法を選択しています。
アパートやマンションを借りてしまうと賃料も発生しますので、まずは実家に帰りそこでひとまず落ち着き就職先を見つけた上で賃貸住宅を借りるという選択をされる方が多いです。
実家に戻ることがどうしてもできないという場合にはアパートやマンションを借りる必要がありますが婚姻費用とのかねあいもありますが、本当に賃料や生活費をまかなえるのか慎重に検討してください。
別居がどうしても困難という場合には同居を継続しながら離婚を進めるしかないでしょう。
別居をする際の注意点
別居をするとなると、ある日突然いなくなるという方法を選択される方もいます。
DVなどの事情がある場合は別ですが、極力これは避けるべきです。
何も言わずに突然家を出ていった場合には婚姻費用を認められない可能性がありますし(子どもがいる場合には養育費相当分のも請求可)、悪意の遺棄として慰謝料請求をされてしまう可能性があります。
極力相手方と話し合った上で別居するべきです。
別居開始前に相手の収入・資産を調べておこう
別居をする前に配偶者の収入や資産をきちんと調べておくことが重要です。
離婚調停になったら途端に嘘をつきだす人というのはしばしば見受けられます。
1000万円以上の預金があるのに預金なんてないよと言い放ったり、株式を持っているにもかかわらず持っていないと嘘を言ったり。
離婚の話をしだすと、嘘をついたり不誠実な対応をする人はいるということを認識しておきましょう。
裁判所は相手の収入・資産を勝手に調べてくれない
配偶者には1000万円以上の預金があるはずだ、などと主張しても裁判所は調べてくれません。
「どこ銀行のなに支店に預金があるという主張ですか」などと聞かれ、答えられなければそれで終わりと考えたほうが良いでしょう。
こうなってしまうと相手は嘘のつき得です。
立証できない相手の収入・資産はないものと同じと考えてください。
だからこそ、同居している時に調べられるものはすべて調べるべきです。
相手の収入・資産は可能な限り調べた上で別居を開始するということを忘れないでください。
別居を開始したらまずは婚姻費用の請求
いざ、別居を開始したらまずは婚姻費用を請求するべきです。
婚姻費用の相場は先ほど挙げた裁判所のサイトをご覧ください。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
別居をしたら婚姻費用をもらって生活を安定させつつ、どっしりと腰をすえて婚姻関係の解消にあたるべきです。
相手がどうしても離婚に応じてくれない時には
こちらが離婚を請求したが、どうしても相手が離婚に応じてくれないという時には焦らないことが重要です。
多少の妥協ならまだしも、焦って養育費や財産分与で大幅な妥協をすべきではありません。
離婚をする際には離婚後の生活も大いに考えるべきです。
安易な妥協は後に大きな後悔となりますので注意してください。
相手が離婚に応じてくれないのであれば別居をし、婚姻費用をもらいつつ時期を待つのが良いでしょう。
婚姻費用は養育費よりも高額となるのが一般的ですので、相手としては早く婚姻費用から養育費に切り替えて月々の支払いを抑えたいと考えるケースが多いです。
これを利用して有利な離婚条件を引き出すことも考えられますし、また、相手が意地で離婚に応じずとも別居期間が長くなれば一方的に離婚することも可能になります(長期の別居はそれだけで離婚原因になります)。
離婚をする際、焦りは禁物です。
弁護士への相談を
このように離婚は戦略的に動くべき問題です。
様々な法律関係も絡み合っていますので、弁護士に相談するのが賢明です。
アウル東京法律事務所では離婚の相談は無料でお受けしておりますので安心してご相談ください。