浪費癖、生活費
配偶者を経済的に困窮させることは離婚原因になりうる
まず、働く意思はあるし就職活動をしているのに就職先が見つからないという場合にはさすがに離婚原因にはならないと考えられるので注意してください。
ただの不運は、婚姻を継続し難い重大な事由にはならないでしょう。
ここでは、以下のようなパターンを想定しています。
- ・浪費癖があり、十分な収入があるにも関わらず家にろくに生活費を入れない
- ・頻繁に転職をし、収入が安定しないことを理由に家に生活費を入れない
- ・多額の借金の返済に追われており家に生活費を入れない
とくにどちらかが専業主婦(夫)になっている家庭を想定していますが、結局のところは、収入がある方が家に生活費を入れず、配偶者を経済的に困窮させることが離婚原因になり得るのです。
逆に以下のような場合には浪費癖等があってもそれだけでは離婚原因にはならないと考えられます。
- 月の収入が税引き後200万円あり、うち100万円は浪費するものの残り100万円は配偶者にわたしている
- 頻繁に転職をしてはいるもののこれまでの蓄えを使って、生活費として十分な額を家に入れている
- 借金が総額で3000万円ある(たとえば住宅ローンなど)がとくに返済には窮しておらず、家にもちゃんと生活費を入れている
夫もしくは妻に借金がある=離婚原因というわけではありません。
借金をする場合にはちゃんと配偶者に相談すべき
借金をする場合には、その前にまずは配偶者とよく相談すべきです。
借金は返さなければいけません。
つまりは毎月の収入から一定の金額が借金返済に消えてしまいます。
借金返済をした上で家族を養っていけるだけの収入が残るのか、きちんと相談すべきです。
自分の収入だからと言って好き勝手に使って良いというものではありません。
夫婦には協力・扶助義務(民法752条)があります。借金等で家計を困窮させることは悪意の遺棄に該当することすらあり得ます。
借金問題を解決する方法は離婚だけではない
夫婦の一方に借金があることが発覚した場合には絶望的な気分になるでしょう。
怒りや、時には憎しみを覚えることすらあるかもしれません。
そのような場合には離婚をするという方法ももちろんあります。
夫婦といえど、それぞれ一人の人間です。夫の借金は妻の借金になりません、逆に妻の借金も夫の借金にはなりません(保証人になってしまっているような場合には別ですが)。
離婚してしまえば少なくとも自分は借金問題から解放されるでしょう。
ただ、借金問題については、離婚が唯一の解決方法ではありません。
まずは債務整理を検討してはいかがでしょうか。
債務整理には大きく分けて3種類の方法があります。(1)任意整理、(2)破産、(3)個人再生です。
(1)任意整理
弁護士が貸金業者と債務者との間に入って、返済方法や返済金額について協議する方法です。
たいていの貸金業者相手には、将来利息(つまり今から支払う利息)をカットして元金だけ返していくという方法でまとまりますし、概ね36回~60回の分割払いで合意が成立するので月々の返済額も減額できることが多いでしょう。
(2)破産
借金をすべてなくしてしまう強力な債務整理の手法です。
ただし、原則として自分がいま持ってる財産はすべて失います。
さすがに自分の財産は維持したまま借金だけはなくしてくれる、なんて都合の良い制度ではありません。
(3)個人再生
借金を裁判所の力を使って強制的に減額し、3年~5年で返済するという方法です。
住宅ローン付きの建物を所有しており、破産で家を失うのは困る、といった場合にこの手法を選択するケースが多いです。
このように借金問題については解決の途が残されているのでまずは弁護士にご相談ください。
アウル東京法律事務所では、借金問題の無料相談もお受けしております。
手段を尽くしても経済的困窮が解消できない場合には離婚を
結婚生活にはお金が必要です。
人が生きていくにはお金が必要となるので当然でしょう。
夫婦のうちの一方が、奴隷のように他方に尽くさなければならない理由はありません。
浪費癖があって家計を困窮させているのに浪費をやめない、家計が困窮しているにも関わらず一向に働く意思すら見せない、多額の借金があり借金返済に追われて家計を困窮させさらに債務整理で借金を解消しようともしない、という場合にはさすがに離婚を考えるべきでしょう。
まずは話し合いをすべきですが話し合いをしても解決しない問題があるのであれば離婚せざるを得ないでしょう。