離婚慰謝料
離婚をしたからといって必ずしも慰謝料を請求できるわけではない
離婚をすると、どちらかが必ず慰謝料を支払わなければならないと勘違いされているかたもいます。
しかしながらそうではありません。
離婚をする(裁判所が婚姻関係はもはや修復できないとして離婚を認めた場合も含む)が慰謝料は双方払わないというケースは多くあります。
離婚=慰謝料
ではなく、慰謝料が発生するケースは限られていると考えてください。
離婚慰謝料を請求できるのは、どちらか一方に原因がある場合
離婚慰謝料を請求できるのは、夫婦のうちどちらか一方に専ら離婚の原因がある場合です。
夫婦と言えど、それぞれ一人の人間ですから、一緒に生活していくうえで相手の嫌な点も見えてくるでしょう。
夫婦それぞれの性格や価値観の違いから離婚に至るというケースは多くあります。
こういった場合は、たいてい双方に離婚の原因があると言わざるを得ません。
また責任の割合を数値化してどちらの責任が重いのか比べることもありません。
たとえば、夫婦双方の婚姻中の行動を振り返って、夫のほうが51%悪くて、妻のほうが49%悪い、だから夫は慰謝料を支払わなくてはいけない、ということにはなりません。
どちらか一方に専ら婚姻関係を破たんさせた原因があるような場合のみ慰謝料が請求できるのです。
慰謝料を請求できる離婚原因の例
慰謝料を請求できる離婚原因とすると、以下のようなものがあげられます。
- ・不倫
- ・暴力
- ・悪意の遺棄(生活費を渡さないで経済的に困窮させるなど)
ただし、不倫があったといっても、たとえば別居期間が5年以上継続しており、その間ほとんど夫婦間に交流もなく、婚姻関係が破たんしているようなケースだと、婚姻関係破たん後に不倫をしても慰謝料の請求はできないでしょう。
慰謝料を請求できない離婚原因の例
慰謝料を請求できない典型的な離婚原因は以下のようなものです。
- ・性格の不一致
- ・宗教の対立
- ・親族との不和
ただし、たとえば性格の不一致といっても、一方が心理的虐待といえるようなことまでしているようであれば、離婚慰謝料が認められることもあります。
慰謝料が認められるか否かはケースバイケースとはなりますので、慰謝料を請求できる例、できない例は目安とされてください。
離婚慰謝料の相場
離婚慰謝料の相場は100万円~300万円となります。
婚姻生活の長さや、離婚原因の程度(たとえば10年間継続的にDVを行ってきたようケースでは高額な慰謝料が認められるでしょう)等の事情によって左右されます。
芸能人の離婚で慰謝料が1億円というケースもありますが、ああいう慰謝料は通常認められません。
慰謝料という名目ではあるものの実質的には財産分与ではないかと思われます。
慰謝料には時間制限があるので注意
慰謝料請求にも時効があります。
離婚をしてから3年が経過するともはや慰謝料請求権は時効になって原則として消えてしまうので注意してください。
一刻も早く婚姻を解消したいから離婚を先行させるというケースもありますが、その場合には慰謝料請求や財産分与の請求などはすぐに行うべきでしょう。
不倫慰謝料の注意点
離婚に関する慰謝料の中でも少し変わった性格を持っているのが不倫慰謝料です。
不倫は一人ではできません。
必ず不倫相手がいます。
夫もしくは妻が不倫をした場合には、不倫相手に対して慰謝料の請求ができます。
難しい概念なのですが不倫は共同不法行為というものになります。
つまりは、夫もしくは妻と不倫相手とが一緒になってあなたの貞操権を侵害したというものになります。
この場合には、不倫の慰謝料は配偶者だけではなく、不倫相手に対しても請求できるのですが、二人が連帯して責任を負うことになります。
たとえば、不倫の慰謝料総額が200万円、責任割合でみると夫が150万円の責任を負い、不倫相手が50万円分の責任を負うという場合には、連帯責任なのでどちらに対しても200万円の請求ができます(二重取りはできないので、双方からの支払合計が200万円にたっしたらそれでおわりです)。