慰謝料をもらわずに離婚してもいい? とにかく離婚したいと思った女性が考えるべきこと
離婚慰謝料をもらわずに離婚すること自体は可能
「夫が浮気をした」「夫からモラハラやDVを受けている」といった場合に、一刻も早く離婚したい……と考える女性も多いと思います。
このとき問題になるのが、離婚の慰謝料です。離婚の慰謝料は夫が一方的に離婚の原因を作った場合に、妻側が夫に請求できるお金のことをいいます。ちなみに、慰謝料の相場は数十万円~300万円程度であり、婚姻期間の長さや相手の行為の悪質度などを総合考慮して最終的な金額が決められます。
しかし、素直に夫が慰謝料を払ってくれるとはかぎりません。なかには「お前も悪い」「カネがない」と開き直り、「慰謝料は払わない」と言い張る夫もいるようです。
このようなケースでは、最初から慰謝料をもらうことを諦め、「慰謝料なしでもいいから離婚したい」と考える女性もいるかもしれません。
結論からいうと、あえて慰謝料をもらわずに離婚すること自体は可能です。DVなどで命の危険があり、逃げることを最優先にして考えないといけないというケースもあるでしょう。
しかし、離婚の慰謝料はそれなりの金額のお金です。特に、子どもを引き取る予定があり、しかも女性の収入が少ない場合には、慰謝料をもらえるかどうかで今後の生活が大きく変わる可能性もあります。
離婚した女性は困窮しやすい傾向がある
日本では、女性やひとり親家庭の貧困率が高い傾向にあるといわれてます。シングルマザーの2人に1人、独身女性の3人に1人が貧困状態にあり、子どもの有無に関係なく離婚後に困窮する女性は少なくありません。
それには結婚・出産をきっかけとしてキャリアダウンしてしまう女性が多いこと、さらに一度正社員の職を離れてしまうと正社員に戻れないことなど、日本特有の雇用事情が関係しています。
特に、結婚・出産を契機に正社員の仕事をやめて専業主婦やパートになった女性の場合、問題は深刻化しやすい傾向にあります。離婚をきっかけに貧困状態に陥ってしまう女性は珍しくないのです。
知っておきたい離婚時にもらえるお金
離婚後の生活を安定させるためにも、「もらえるお金はきちんともらっておく」というのはひとつの合理的な判断といえます。
それだけに離婚時、金銭面の条件について相手と交渉するときには慎重に行動するべきです。話し合いで解決を図る場合、一度した合意の内容を覆すのは難しいからです。
なお、慰謝料の他にも、離婚時にもらえる相手からもらえるお金はあります。具体的には次のようなものがあげられます。
財産分与
結婚中に築いた財産は夫婦の共有とされるため、離婚時に精算する必要があります。夫婦で半分ずつ分け合うのが原則ですが、慰謝料的な意味合いで多めにもらうこともできます。
養育費
経済的に独立していない子どもがいる場合に、子供の養育のためにもらえるお金です。一般的には、子どもが学校(大学含む)に在学している間は養育費が支払われるケースが多いようです。
離婚の慰謝料などについて相手と交渉するときのポイント
離婚そのもの、あるいは離婚の条件については、相手との話し合いで決めることも可能です。しかし、こうした直接交渉には、夫がモラハラ気質であるなどの原因からまともな話し合いにならない、あるいは相手に無理な主張を押し通されてしまうリスクがある、といった懸念があります。
そこで、おすすめしたいのが、話し合いに際しては弁護士に依頼し、味方になってもらうことです。弁護士が粘り強く、また法的根拠に基づいた冷静な主張を繰り返すことで、交渉をこちらに有利な方向で進められる可能性が高くなります。
また、いざというときは調停や裁判といった法的手続きにスムーズに移行できるのもメリットです。離婚時のお金について悩まれている方は、一度ご相談いただければと思います。
その他のコラム
妻からのDVと離婚・慰謝料
離婚DV被害に悩む男性が増えている DVというと「男性が女性に対して行うもの」というイメージが先行していますが、逆のパターンも決して珍しくありません。 夫のDVに悩んでいる妻もたくさんいる一方で、妻のDVに悩んでいる男性も増えてきています。 実際警察庁の発表したデータでも、2020年に警察が把握したDV被害者のうち約23.6%は男性です(※)。 ただ、ジェンダーや価値観の問題もあるのでしょうか? 妻からのDVについては表...
浮気はどこで生じるのか?
マスメディアを賑わすようなものではなく、日常的に生ずる浮気はどこで生じているのか? まず第一は、勤務先の関係者ですね。大体はこれです。日常的に、あるいは習慣的に接する異性として、同僚同士、上司部下が目に入り、浮気に発展したと思しきケースが大きな割合を占めます。 こういったケースは、基本的に相手が既婚者かどうかを知っていることが通常なので、一たび肉体関係があったことを示す証拠が確保できれば、あとはいくらを、どのように支...
妻(夫)がスピリチュアルやマルチ、自己啓発セミナーにハマったかも…困ったパートナーへの対処法とは
その他妻(夫)がスピリチュアルや怪しい自己啓発セミナーにはまっていることに気づいたら 妻(夫)がスピリチュアルや怪しい自己啓発セミナー、さらにネットワークビジネスにはまっていることに気づいてしまった……。 このようなとき、パートナーとしてはどう対応すればよいのでしょうか。 あくまで趣味のレベルにとどまっていればいいのですが、その程度で済むケースばかりとは限りません。 怪しいコミュニティの活動にどっぷりハマってしまい、...
婚約破棄をしたら慰謝料を請求された!慰謝料を支払わないとダメな場合はどんなとき?
その他婚約破棄をした事情によっては慰謝料を請求される可能性がある いわゆる婚約とは、法律上は、カップルが結婚する意思を互いに確認することをいいます。 婚約を成立させるためには特に法的な知識や儀式は必要ではなく、極端な話、当事者の口約束だけでも成立します。 婚約指輪の授受や結納の儀式がなくても、プロポーズを受け入れればそれで婚約成立です。 婚約は法的な約束であり、いったん成立すると、その当事者は法律上の責任を負います。将来の結...
ダブル不倫の帰結とは~関係が発覚した後に起きること
離婚ダブル不倫の定義 いわゆるダブル不倫とは、「不倫の当事者双方が既婚者である場合」をいいます。つまり、当事者双方に配偶者がおり、それぞれの配偶者が不倫の被害者、すなわちサレ妻・サレ夫になるケースです。 被害者の人数が増えること、および双方の家庭を巻き込んだ不倫になることから、周囲にバレるリスクも高く、かつバレた後は事態が泥沼化しやすいという特徴があります。 なお、ここでいう「不倫」とは民法上の不貞行為、すなわち現在の配偶者...