月々のお小遣いが1万円……経済的DVを理由に離婚できる?慰謝料は? |東京新宿の慰謝料請求に強い弁護士

月々のお小遣いが1万円……経済的DVを理由に離婚できる?慰謝料は?

新生銀行が実施した「2021年サラリーマンのお小遣い調査」によると、子どもを持つ男性会社員で、妻が働いている世帯のお小遣いの平均額は3万1732円、共働き世帯の平均は3万1837円であることがわかりました。
さらに未就学児のみがいる世帯の男性会社員のお小遣い平均額は2万8368円です。
子育て世代はわずかなお小遣いで生活している様子がうかがい知れます。

なかには低すぎるお小遣いでお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回はアウル東京法律事務所のパラリーガルの○○が今村弁護士に、「お小遣いが低すぎることを理由に離婚を請求できる?」と質問しました!お小遣いが少なくて困っている方はぜひ参考にしてください。
 

夫のお小遣いが月額1万円! 少額なお小遣いを理由に離婚はできる?


パラ:今回の質問は「お小遣いの少なさ」が離婚の理由になり得るかどうかです。
話し合いや調停での離婚はどんな理由でも問題ないと聞いています。
ですが話し合いや調停で離婚が成立せず、裁判になった場合は「離婚事由」が必要ですよね?少ないお小遣いは離婚事由になり得ますか?前提となる条件はこちらです。
夫:会社員 年収1000万円超
妻:専業主婦 年収0円
子ども:4才と6才。いずれも幼稚園児。
お小遣い:月額1万円。

今村弁護士:無理ですね! 妻が夫からお小遣いを1万円だけしか渡されないことは、婚姻を継続し難い重大な事由には該当しないと考えられます。これが「夫が妻に生活費を1万円しか渡さない」というお話であれば、離婚は十分に可能ですが。

パラ:1万円で「ランチ代と遊興費もまかなうように」と言われていたとしても離婚は難しいですか?お小遣いが「1万円では到底足りないから、妻から夫への「モラルハラスメント」になるのではと思ってしまいます。

今村弁護士:そもそもですが夫の給与ですから、いざとなれば夫は自分で給与の振込先を変更できるわけです。自分が掌握している口座に振込先を変更して、そこから生活費を支払えばいいですよね。だから私から言えることは「話し合いなさいよ」ということ。

パラ:では具体的に毎月のお小遣いがいくらだったら、離婚が認められますか?


今村弁護士:難しいですが、「ランチ代込みで1000円」くらいならもしかしたら認められるかも知れないですね。銀行口座等も全て妻の支配下にあり、お弁当を持たせないとなると「兵糧攻め」の様相を呈してきますから。

 

夫がお小遣いが低額すぎることを離婚したいときはどうすればよい?


パラ:お小遣いが少ないことだけを理由に裁判で離婚が認められることは難しいと聞きました。
でも話し合いでも離婚が認められなかった場合は、調停を申し立てることができますよね? 調停でも離婚は認められにくいですか?

今村弁護士:「話し合いましょうよ」と言われるだけだと思います。私もそのような相談を受けたら「話し合ってください」といいますよ。

パラ:では離婚する道はないのでしょうか?

今村弁護士:あるとすれば、双方合意の元「別居」に踏み切ることですね。別居期間が長くなれば、婚姻関係が破綻しているとみなされて裁判になったとしても離婚が認められる可能性が高まります。

パラ:お小遣いをわずかしかくれない奥様だと、別居を認めてくれないのでは? 子どもを連れて家を出てもよいですか?

今村弁護士:お子さんを黙って連れて行くと、紛争がさらに悪化するので黙って釣れていくというのは良い方法ではありませんね。またお子さんを連れて行かない場合でも、妻と子どもたちの生活費を「婚姻費用」という形で支払わなければなりません。

この事例では夫の年収が1000万円、妻は無収入、14歳以下の子どもが2人ですので、婚姻費用は月額22万円から24万円です。

婚姻費用を支払わないで別居をすれば、「悪意の遺棄」と判断されるリスクがありますよ。
「悪意の遺棄」とは正当な理由なく夫婦の義務を果たさないことをいいます。
夫婦は同居義務、協力義務、婚姻費用負担義務の3つの義務を負っています。
勝手に別居して婚姻費用を支払わないケースは「悪意の遺棄」と判断されて、先方から離婚を請求される上に、慰謝料まで求められるかもしれません。


パラ:なるほど! ではお小遣いが少ないことを理由に離婚するために、別居を開始する場合は「話し合いによる円満別居」が欠かせないということですね!


今村弁護士:その通りです。あとは別居したからといって、他の女性と交際するようなことは避けましょう。別居は婚姻関係が破綻しているとみなされるため、他の女性との関係があったとしてもそれが慰謝料請求等には影響しません。しかし別居直後に他の女性と交際をしたとなると、「婚姻関係が破綻する前から、関係があったのでは?」と勘ぐられてしまいます。

 

夫のお小遣いの増額交渉を弁護士に依頼してもいい?


パラ:お小遣いの増額を交渉して、待遇の改善を計りたいと考える方もいると思います。
妻へのお小遣いの増額について今村先生に交渉を依頼してもよいですか?

今村弁護士:ご依頼いただいてもよいですが、お小遣いの増額交渉に弁護士が登場すると、「喧嘩を売っている」と思われるおそれがあります。したがって弁護士に交渉を依頼するのではなく、「なぜおお小遣いが少額なのか」を夫婦で話し合ったほうがよいでしょう。

家計の管理を妻に任せているのであれば、まずは収支を見える化してみましょう。
お子さんがいるご家庭であれば、「必要以上に教育費を積み立てている」などお小遣いを増やせる余地があるかもしれません。
もしそれが子どもたちにとって欠かせないものであるならば「子どものためならば」と、夫が我慢できることもあります。
また妻が使いすぎているケースもありますよね。


パラ:なるほど! ありがとうございます! 「お小遣いをアップして欲しい」ではなく、お小遣いが少ない理由を探って話し合うことが大切なんですね。

 

夫が妻にわずかな生活費しか渡さない場合はどうすれば?


パラ:今度は妻が夫からわずかな生活費しか渡されないケースについて質問したいと思います。
以下の条件で、夫が妻に「1ヶ月の食費・日用品費として1万円を渡している」というケースは裁判で離婚が認められますか?
夫:会社員 年収1000万円超
妻:専業主婦 年収0円
子ども:4才と6才。いずれも幼稚園児。
夫が妻に渡す食費と日用品費:月額1万円。

今村弁護士:これはいわゆる経済的DVであると考えられます。1万円で家族4人の食費と日用品費をまかなうことは到底できません。

パラ:経済的DVは離婚事由のうち何に該当しますか?

今村弁護士:「悪意の遺棄」か「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するといえるでしょう。したがって話し合いで合意できなかったとしても、調停、裁判と手続きが進行すれば、離婚が認められる可能性が高いといえます。

パラ:この女性は離婚について話し合っている期間、夫から婚姻費用を受け取れますか?

今村弁護士:はい。婚姻費用の算定表にしたがって22万円から24万円を請求できます。

パラ:この女性は夫と離婚できるとして、離婚後はどのように生活すればよいでしょうか。子どもを2人抱えて、現在無職であればまとまった収入を得ることは難しいように思えます。

今村弁護士:まずお子さんが成人するまでは、夫から養育費を受け取ることができます。子どもが14歳になるまでの養育費の月額は18万円から20万円、両方が15歳を超えると月額20万円から22万円です。

さらに子ども手当や児童扶養手当、自治体によって児童育成手当を受け取れます。
またアルバイトやパートでれば、子どもを2人育てながらでも働けるでしょう。
このような形で、働きながら生計を立てていらっしゃる方も多くいます。


パラ:諸々の手当と養育費、パート等の収入を合計すれば「食費・日用品費1万円」の結婚生活よりも、豊かに暮らせそうですね!

 

お小遣いや生活費の少なさを理由に離婚を検討している方は弁護士にご相談を

今回は今村弁護士に「少額なお小遣い」や「少額の生活費」しか渡さないことを理由に離婚を請求できるかどうかを伺いました。
結論は「夫のお小遣いが月額1万円であれば離婚は難しい。
昼食を食べることができないような状況であれば可能性はある」とのこと。
夫がお小遣いが少ないからと離婚したい場合には、夫婦で合意をした上で別居する必要があるとのことでした。
一方で「妻が夫から渡される食費:日用品費が1万円」というケースは離婚できる可能性が高いとのこと。

こういったケースでお困りの方は当事務所までご相談ください。
弁護士が詳しくお話を伺った上で、離婚に関する交渉やお手続きをお手伝いいたします。
離婚後の生活が不安で離婚に踏み切れない方、離婚の話し合いに自信がない方のお力になるべく全力を尽くします。
ぜひお気軽にご相談ください。

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