実際にもらえる金額はケースバイケース!不倫の慰謝料の金額を決める7つの要素とは
その他不倫慰謝料の金額の決まり方
夫婦はお互いに貞操義務(配偶者以外の人と肉体関係をもたない義務)を負っています。
この義務に違反した場合、民法上の不法行為があったとして、不倫をした配偶者と不倫相手に慰謝料の支払いを求めることが可能です。
不倫の場合、慰謝料の相場はおよそ数十万円0300万円程度となっており、実際にもらえる金額はケースバイケースといえます。
では、「実際自分はいくらくらいもらえるのか?」と気になる人もいるかもしれませんね。
この点については、裁判例が蓄積していることもあって、慰謝料の相場感については「こうしたケースではこれくらい請求できそう」といったようにある程度予測が立てられるようになっています。
ここでは、慰謝料の増減に影響を与える7つの要素について紹介します。
慰謝料の金額に影響を与える要素
もらえる慰謝料の目安となる金額は各家庭の抱える事情や不倫に至った事情、不倫をされた側の精神的ショックの大きさ、不倫後の状況などの総合考慮によって算出されます。
行為の悪質度
不倫している期間が長い、不倫相手が妊娠・出産した、家出をして不倫相手と同棲しているといった事情がある場合は「悪質な不倫」と評価され、慰謝料の金額が相場より高くなる傾向があります。
逆に、「1回だけの関係だった」といったような場合では、慰謝料が減額される可能性があります。
婚姻年数
円満な結婚生活を送ってきた年数が長いほど「配偶者としてきちんと保護されるべき」という発想に結びつきやすく、慰謝料も増額されやすくなります。逆に、婚姻期間が短い場合は実際にもらえる慰謝料は相場より少し少なくなるかもしれません。
当事者の社会的地位・経済力
慰謝料の計算の際には、当事者の社会的地位や経済力も重視されます。不倫の当事者に高い地位・年収があることは、慰謝料増額についてのプラス要素となります。
逆に、不倫相手にほとんど収入がない場合には、減額もやむなし、ということもあるかもしれません。
未成年の子どもの有無
未成年の子どもの有無も影響します。子どもがいる場合は、そうでない場合と比べて慰謝料が増額されやすい傾向があるのです。
不倫があった当時の夫婦仲
「不倫がなければ夫婦仲が悪化することもなかった」という状況であれば、不倫のせいで夫婦関係が壊れたという評価につながりやすいです。
逆に、「そもそも夫婦仲が悪く、家庭内別居状態だった」というのであれば慰謝料が減額、さらには「もともと夫婦関係が破綻していた」とされて慰謝料の請求そのものが認められない可能性もあります。
不倫が発覚した後の状況
不倫が発覚した後の家庭の状況がどうなっているかも重要です。不倫がきっかけで離婚した、不倫のショックでうつになった、といった事情があると、慰謝料が増額されやすくなります。
逆に「離婚せずに仲直りした」というのであれば、もらえる慰謝料の金額は相場より低い金額になる可能性もあるでしょう。
不倫相手側の事情
特に、不倫相手に慰謝料請求をする場合は、不倫相手側の事情も考慮されます。「独身だと嘘をついていた夫(妻)にだまされた」「無理やり関係を結ばされた」といった事情がある場合、不倫相手に多額の慰謝料を請求するのは難しくなるかもしれません。不倫相手側の落ち度がゼロという場合は、不倫相手に対いて慰謝料請求そのものができなくなる場合もあります。
なお、その場合であっても、不倫をした配偶者に対して慰謝料をキッチリ請求することは可能です。
実際の金額は交渉に左右される側面も
ここまで慰謝料の相場や金額を左右する要素について紹介してきました。しかし、ここで紹介してきたものは、あくまでも目安にしか過ぎません。
当事者同士の話し合いで解決する場合については、実際にもらえる金額は「話し合いの結果次第」ということになりがちです。相場より多くもらえる場合もあれば、離婚することになっても慰謝料ゼロという場合もあるでしょう。
慰謝料請求の交渉では、交渉にのぞむ当事者の要求が互いに対立するため、難しい舵取りを迫られるところがあります。また実際に交渉を進めていく上では、法的な知識や交渉テクニックも必要です。
自分にとって有利な方向に話をまとめるためにも、弁護士に一度アドバイスを求めてみるのもよいのではないでしょうか。
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