結婚中、異性との交流はどこまで許される?~不倫とそうではない行為との境界線
その他そもそも不倫って
いわゆる不倫のことを、法律上は不貞行為といいます。
夫婦(事実婚を含む)には、お互い他の相手と性交渉を持たないという貞操義務が存在します。
この義務に違反し、他の相手と肉体関係を持つ行為が不貞行為です。
不貞行為は民法上の不法行為にあたり、不貞行為をされた側は、不法行為をした側(パートナー、浮気相手)に慰謝料を請求することができます。
また不貞行為は法定離婚事由にも該当するため、浮気があったことを理由に離婚訴訟を提起することも可能です。
この場合、たとえパートナーが離婚を拒んだとしても、こちらの言い分が裁判で認められれば強制的に離婚が成立します。
不倫にあたる行為・あたらない行為
不貞行為にあたる行為と、あたらない行為の境界線は「肉体関係の有無」です。
つまり、キスやプラトニックなデートなどは不貞行為にはあたらないということになります。
他の異性とホテルや旅行に行く
他の異性と2人きりでホテルに行ったり、旅行に行ったりする行為は、基本的に肉体関係があることをうかがわせる行為といえます。
実際、ホテルから2人で出てきたところを写した写真などが浮気の決定的な証拠になることも多いです。
男女を交えたグループで旅行に行く場合は2人きりで行くよりは浮気に発展する可能性は低いといえますが、「それでもイヤだ」という方もいると思います。
今後の夫婦関係を良好に保つためにも、一度パートナーと話し合った方がよいかもしれません。
異性の友人と食事に行ったり、飲みに行ったりする
異性の友人と食事に行ったり、飲みに行ったりする行為は、法律上は不貞行為にはあたりません。
もっとも下級審判例では、夫とプラトニックなデートを繰り返していた女性に対して、妻が行った慰謝料請求が認められた事例もあります。
不貞行為そのものにはあたらないものの、事情によってはデート相手の責任を問える場合もあるといえそうです。
風俗やキャバクラ通いをしている
風俗やキャバクラ通いについても、肉体関係の有無が争点になります。
風俗では原則として本番行為が禁止されていますが、それでも性交に類似した行為が行われていることは確かですので、性交に類似する行為があったと評価できるケースもあるでしょう。
その場合、たとえ相手が仕事として性交類似行為をやっていたとしても、不貞行為となります。
またキャバクラ通いについても、キャバ嬢とお酒の席でキスをしたり、同伴・アフターでご飯に出かけたりする程度であれば「不貞行為」にはなりませんが、性交渉を持った場合は不貞行為にあたるといえます。
今流行りのパパ活(ママ活)は?
今流行りのパパ活(ママ活)についても、肉体関係がある場合は当然不貞行為にあたります。
その場合、パパ活女子などに対して慰謝料を請求することも可能です。
パートナーの行動が許せないと感じたら
もしパートナーの行動が許せないと感じた場合、こちらとしてはどのように行動すればよいのでしょうか。
考えられる方法としては、次のようなものがあります。
パートナーと話し合う
パートナーと話し合いで解決できそうなのであれば、当事者同士で話し合うことが大切です。
特に、今後も夫婦としてやっていきたいのであれば、関係改善のためにもきちんと話し合うべきといえます。
誰か仲裁役がほしい場合は、家庭裁判所の夫婦円満調停を利用するのもよいでしょう。
慰謝料を請求する
不貞行為など悪質な行為があった場合は、問題の行動を起こした相手(もしくはパートナー本人)に慰謝料を請求することも考えましょう。
不貞行為が認められた場合、請求できる慰謝料の金額は数十万~300万円程度が相場です。特に、夫婦関係が破綻したようなケースでは、高額の慰謝料が認められやすいといえます。
離婚を検討する
「どうしても相手が許せない」という場合は、離婚も視野に入れることになるでしょう。
たとえ不貞行為がなかったとしても、「キャバクラで浪費して家に生活費を入れてくれない」などの事情がある場合には他の理由で裁判所が離婚を認めてくれる可能性があります。
また、そもそも離婚は夫婦双方の同意だけで成立するものでもあるので、裁判や調停を経ずに離婚することも可能です。
夫婦双方が離婚に同意しているのであれば、夫婦の話し合いだけで離婚が成立します。
この場合、離婚の理由は問われません。
なお、特に不貞行為などパートナーに離婚の原因がある場合は、離婚に際して慰謝料を請求できます。
具体的な金額などについては離婚に至った事情や行為の悪質度、パートナーの収入によって異なりますので、一度弁護士にご相談ください。
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