実家ベッタリのパートナーと離婚はできる?マザコン・実家依存と離婚問題
実家と仲がよすぎるパートナーに困惑…… 夫婦関係にも支障がでている場合に離婚は認められる?
結婚は本人だけでなく、本人の家族も関わってくる問題でもあります。
ここで問題になりがちなのが、パートナーの実家との関係です。
パートナーが自分の実家とモメている場合もトラブルになりやすいものですが、逆に良好すぎるのも困りものです。
家族仲がよいのはよいことですが、仲がよすぎて「実家に入り浸って帰ってこない」「夫婦の会話が義実家に筒抜けになっている」、あるいは「夫が義母にベッタリすぎてマザコン疑惑が……」といった事態になってくると、妻(夫)としては困りますよね。
最近では子育てや家事の手伝いをきっかけに妻の実家との距離が近づきすぎてしまい、夫との関係がうまくいかなくなるというケースも増えているようです。
ところで、こうした実家との距離感が原因で夫婦仲にヒビが入った場合、それを理由に離婚することはできるのでしょうか。
実際に離婚できるかどうかは、当事者の意思や各家庭の事情によって変わってきます。
知っておきたい離婚の種類および離婚が認められる理由
まず当事者双方が夫婦関係の修復をあきらめ、お互い離婚することに同意している場合は当然離婚できます。
いわゆる協議離婚といわれるものです。
また離婚するかどうか、はたまた離婚の条件をめぐって話がこじれ、当事者だけで解決をするのが難しい場合は、家庭裁判所の調停で話し合いを続けることが可能です。
協議離婚や調停離婚はどちらも話し合いによる離婚であり、離婚の理由は問われません。
最終的に離婚することにお互いが合意できれば、夫のマザコンや実家依存を理由に離婚することも可能です。
問題は、調停によっても離婚が成立しなかった場合です。
このときは裁判で離婚を争う必要がありますが、離婚訴訟を提起するためには法定離婚事由が必要になります。
パートナーと義両親との関係だけを理由に離婚するのは難しいといえるでしょう。
パートナーの実家との関係を理由に法定離婚事由が認められそうな場合
もっとも各家庭の事情によっては法定離婚事由が認められる可能性もないわけではありません。
具体的には次のような場合です。
すでに夫婦関係が破綻している場合
義実家との関係を理由に夫婦が別居したなど、すでに夫婦関係が破綻している場合は法定離婚事由の1つである「婚姻を継続し難い重大な理由」があるとして離婚が認められる可能性があります。
悪意の遺棄に該当する場合
パートナーが実家に入り浸り、ほとんど家に帰ってこないといった極端なケースでは、法定離婚事由のうち「悪意の遺棄」にあたるとして離婚が認められるかもしれません。
仮に悪意の遺棄に該当しないとされた場合でも、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性もあります。
モラハラがあった場合
自分の親と比べて妻(夫)をけなす、暴言を吐くなどモラハラがあった場合も「婚姻を継続し難しい重大な事由」が認められやすくなります。
他にもパートナーに問題がある場合
浮気など他にも法定離婚事由に該当するような問題行動がある場合は、それを理由として離婚を認めてもらえる可能性があります。
離婚の慰謝料は認められる?
離婚の慰謝料が認められるかどうかは、相手に「離婚の原因がある」といえることが必要です。
具体的には、相手に法定離婚事由がある場合ですね。
自分にも原因がある場合は減額されたり、そもそも認めてもらえなかったりする可能性もあります。
性格の不一致や価値観の違いを理由に離婚する場合はどちらにも原因があるといえるため、慰謝料の請求が認められにくいといえるでしょう。
一方、相手の言動・行動がひどく、相手が離婚の原因を作ったと評価できる場合には慰謝料の請求が認められやすいです。具体的には、モラハラやDV、浮気があった場合、さらに「悪意の遺棄」が認められる場合です。これらのケースについては証拠がきちんとあれば、慰謝料を取れる可能性が高いといえるでしょう。
子供の親権にも注意
未成年の子供がいる場合は、子供の親権についても考えておく必要があります。
実家べったりのパートナーと離婚する場合、子供の親権をめぐってトラブルが起きることもあるからです。
義両親とパートナーが子供の親権を全力で取りに来るケースもあるため、自分が親権者になりたい場合は弁護士にきちんと相談し、あらかじめ対策を考えておくことが重要といえます。
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