事実婚でも別れるときには慰謝料をもらえる?
その他そもそも事実婚とは
事実婚(内縁)とは婚姻届は出していないものの、事実上夫婦としての関係を築き、共同生活を送っているカップルのことをいいます。夫婦双方に婚姻の意思があり、実際に夫婦として生活を営んでいるものの、籍だけは入れていないという状態です。
事実婚という選択を選ぶまでの経緯はさまざまです。再婚同士で法律婚に消極的というケースもあれば、夫婦別姓を貫くためにあえて籍を入れないというケースもあります。
さらに、一応法律上の配偶者はいるけれど、何十年も一緒に暮らしている内縁のパートナーがいるというパターン(重婚的内縁)も考えられるところです。
事実婚でも法律婚に準じた保護を受けられる
事実婚のカップルも法律婚に準じた法律上の保護を受けられます。法律上の配偶者と違って相続権こそありませんが、健康保険の被保険者にはなれますし、遺族年金の支給が認められる可能性もあります。
また、別れるときには財産分与も認められると考えられています。
事実婚と慰謝料請求
事実婚が正当な理由なく一方的に破棄された場合、法律婚をしているカップルと同様に、破綻の原因を作った側に慰謝料を請求できる可能性があります。
実際にもらえる慰謝料の金額は関係が破綻した理由や事実上夫婦として生活を送った期間、当事者の年齢、子どもの有無などによって決まります。
事実婚と不倫慰謝料
事実婚のカップルにはお互いに貞操を守る義務があると考えられるため、片方が浮気をした場合は浮気相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
浮気で慰謝料を請求できるのは、相手が事実婚していることを知りながら、肉体関係を伴う浮気をしたケースです。
ただし法律婚と比べ、事実婚は外見からは婚姻状態にあることがわかりにくいのが実情です。
浮気相手が事実婚のパートナーがいることに気づかない可能性もあり、その場合は慰謝料請求ができない可能性もあります。
なお、浮気行為については浮気相手・浮気をしたパートナー両方に責任がある、というケースが一般的です。浮気相手に慰謝料請求ができなくても、パートナーに浮気の慰謝料を請求できる可能性はあります。
同棲と事実婚の違い
ところで、恋人同士が一緒に住むということは比較的よくあることだと思います。こうした同棲と事実婚はいったい何が違うのでしょうか。
もっとも大きな違いは、婚姻意思の有無です。つまり、一緒に住んで生活するだけでなく、夫婦として生活する意思まで必要とされます。
このほか、以下のような要素があると、実際にもめ事になった際にも事実婚の成立を認めてもらいやすくなります。
- ・住民票に「未届の妻(夫)」に記載して届けを出している
- ・周囲にも夫婦として認知されている
- ・カップルの間に子どもがいて、男性側の認知も受けている
もっとも事実婚とまではいかなくても、たとえば婚約を正当な理由なく破棄された場合は婚約破棄の原因を作った側に慰謝料を請求できます。またDV被害を受けた場合は、ただの同棲しているカップル同士であっても加害者側に損害賠償を請求することが可能です。
事実婚のパートナーとの間でトラブルが起きてしまったら
カップルにとって理想の在り方は人それぞれです。ライフスタイルや社会情勢の変化に伴い、あえて法律婚ではなく事実婚を選ぶ人も増えています。
事実婚であっても浮気の慰謝料を浮気相手に請求したり、相手のせいで関係が破綻した場合は責任をとってもらったりすることは可能です。もし現在のパートナーとの関係で何か不安なことがありましたら、どうか気軽にお話しいただければと思います。
その他のコラム
年収も学歴も全部ウソだった… 経歴詐称を原因に離婚できる?
その他結婚相手の嘘が発覚したら 人間、1回もウソをついたことがないという人は少ないのではないでしょうか。 もっとも、ウソはウソでも許されるものと許されないものがあるのも事実ですよね。 結婚後にパートナーのウソが発覚した場合、その内容によっては「許せない」「真実を知っていたら結婚しなかったのに」と感じる人もいるはずです。 そうなると相手との信頼関係も崩れてしまい結婚生活を続けることすら難しくなってしまうかもしれません。...
夫の浮気相手が慰謝料を請求してきた!支払わないとダメなケースがあるって本当?
その他浮気相手の慰謝料請求が認められるケースがある 信じていた夫の不倫は、妻にとってはショックの大きい出来事です。浮気相手、さらには夫に「慰謝料の請求をしたい」「謝ってほしい」という方も多いと思います。 もっとも一言で浮気といっても事情は人それぞれです。浮気に至った経緯や夫の振る舞いによっては、浮気相手の方にも言い分があるかもしれません。こうした事情が認められる場合には、浮気相手から夫への慰謝料請求が認められる可能性もあります。...
卑劣な妨害工作にイラつく
浮気相手に対して慰謝料を請求する場合、浮気をした配偶者(なぜか多くは夫。多くは、と書きましたが、私が経験したのはすべて夫)から各種妨害工作をされることが時々あります。 その手口としては、私達の依頼者である妻に対して、「浮気相手に対して裁判起こすなら離婚だ」とか、「浮気相手に対する請求を続けるなら家から出ていけ」とか。 つまり経済的優位にあることをいいことに、卑劣な妨害工作を仕掛けてくるわけです。 残念ながら、...
恋人の浮気が原因で別れたら慰謝料はもらえる?請求が認められる基準とは
その他恋人の浮気が発覚!慰謝料はもらえる? 彼氏(彼女)の浮気は、された側にとってはつらいものです。 おつきあいしている期間が長かった、結婚を考えている相手だったといった事情があるケースでは、なおさらです。 浮気がきっかけで別れることになったものの、このまま黙って身を引くのでは自分の気が済まないという方もいるかもしれません。 こうした場合に、まず思いつくのが「慰謝料を請求すること」だと思います。 ただ基本的に、浮気...
離婚の慰謝料にも種類がある?慰謝料の種類と計算方法
離婚離婚慰謝料の計算方法 離婚慰謝料は、離婚に至ったことについて相手に落ち度、すなわち相手に離婚原因がある場合に請求できる慰謝料です。 金額の相場は、だいたい数十万円0300万円くらいといわれていますが、実際の交渉や各家庭の事情次第でもう少し高い金額をもらえることもあります。 また、実際に請求できる離婚慰謝料の金額はさまざまな要素を考慮して決定されます。このときの考慮要素としては、相手の行為の悪質度、婚姻期間、相手の財産・...