パートナーが同性と不倫!不倫相手に慰謝料は請求できる?
離婚同性の不倫相手をめぐる裁判は増えている
社会の変化に伴い、性に関する認識や家族のあり方も多様化しています。そんな変わりつつある社会において、最近増えているのが、同性と不倫した夫(妻)およびその浮気相手を訴える事件です。
この分野は近年大きく動いている分野といえます。2020年後半から2021年3月にかけて、「同性との性行為についても不倫にあたる」あるいは「同性カップルの一方が浮気した場合も慰謝料の請求にあたる」と判断するような画期的な判決が相次いでいるのです。
民法上の不貞行為とは
そもそも慰謝料請求の対象となる不倫、すなわち民法上の不貞行為とは、これまで「現在結婚しているパートナー以外の人と性交渉をすること」のことを指すといわれてきました。そして、このときの性交渉は挿入を伴うもの(あるいは準じるもの)と解されていて、必然的に男女間の浮気に限定されていたのです。
このロジックでいくと、夫(妻)が同性の不倫相手と性的な関係も持っても不貞行為にはあたらず、不倫相手に慰謝料は請求できない、ということになります。
確かにこれまでも、同性と浮気をしていたことがきっかけで夫婦関係が破綻し、離婚慰謝料の請求が認められた事案もありました。ただ、それはあくまでも「不貞行為があったから」という理由ではなく、「婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)にあたるから」という理由で、離婚慰謝料の支払いが認められたものだったのです。
最新の裁判例から見える傾向
不貞行為による慰謝料の請求が認められるのは、夫婦が互いに貞操義務(他の人と性的な関係をもたない義務)を負い、また夫婦双方に平和な結婚生活を送る権利があるからです。
従来の解釈では、そのあたりの問題は「男女間」に限定されていました。ところが、最近では社会の変化に合わせるような形で、裁判所が柔軟な判断を行うケースも増えています。
同性の不倫相手に対して夫の慰謝料請求が認められた事案
東京地裁において、2月16日付けで出された判決です。
妻と不倫した女性に対して、夫が550万円の損害賠償を求めた事案になります。裁判所は「夫婦生活を破壊するような性的行為があれば、同性間であっても不貞行為にあたる」と認定し、女性に慰謝料など11万円の支払いを命じました。
夫側が控訴していますので今後裁判所の判断がどうなるかわかりませんが、もしかしたら「同性間の浮気も不貞行為として認められる」という流れができるかもしれません。
同性パートナーの浮気について慰謝料請求が認められた事案
ここまでは「婚姻している男女の一方が浮気し、浮気相手が同性である」というケースについて考えてきました。
それでは、事実婚状態にある同性カップルの一方が浮気をした場合はどうでしょうか?
同性間の浮気、というテーマからは少し外れてしまうかもしれませんが、関連する話題として取り上げようと思います。
事実婚状態にある同性カップルにおける不貞行為をめぐっては、2020年に画期ともいえる地裁判決が登場し、東京高裁判決を経て先日最高裁でも確定しました。
裁判で問題になったのは、ある女性が、相手の浮気が原因で関係が破綻したとして、元パートナーの女性を被告として慰謝料等を請求した事案です。
第二審である東京高等裁判所は「同性カップルも婚姻に準じる関係にあり、互いに婚姻に準じる関係から生じる法的な利益があった」と認定し、元パートナー側に110万円の損害賠償の請求を命令。その後、最高裁が元パートナー側の上告を退けたことで、東京高裁判決が確定しました。
このケースでは女性が男性(当時)と浮気をしたケースだったのですが、今後はもしかしたら関係者の戸籍上の性別が全員同性というケースも出てくるかもしれません。
なお、これまでも男女の内縁関係には法律婚に準じた保護を与えられてきましたが、「同性間の事実婚にも、それが認められるべきだ」と指摘した点で、本判決は画期的なものだったといえます。
少なからず今後の実務にも影響を与えることになるのではないでしょうか。
まとめ
性のあり方やジェンダーに関する社会の認識の変化に伴い、不貞行為の意味もまた変化しています。
判例の傾向をみる限り、同性間の不倫に対しても慰謝料請求が認められる、という可能性も十分考えられますので、もし悩んでいらっしゃる方がいれば気軽にご相談いただければと思います。
その他のコラム
離婚&慰謝料の支払いを突きつけられた!払えないかもと思ったときにやるべきこと
離婚突然パートナーから離婚を突きつけられた!そのときに起こるかもしれない慰謝料の問題について パートナーから「別れてほしい」と切り出され、さらに慰謝料の請求までされてしまった……。 不測の事態に戸惑っている方も、ある程度展開の予想がついていた方にとっても、どう対処するか頭の痛い問題だと思います。特に慰謝料の支払いについては、数十万円~300万円程度とまとまった金額になるのが通常ですので、「実際に払えるのか……?」という不安もあ...
マイホームを離婚の慰謝料としてもらうことはできる?
離婚離婚の慰謝料代わりにマイホームをもらうこと自体は可能 「離婚の慰謝料としてマイホームがほしい」と希望されている方もいるのではないでしょうか。 慰謝料は金銭の形でもらうケースが多いですが、絶対に金銭でなければならないというルールがあるわけではありません。慰謝料としてマイホームをもらうこと自体は可能です。 もっともマイホームは一般的に価値の高い資産ということもあって、分け方をめぐってトラブルになりやすいのも事実。特に住宅ロー...
義実家とのトラブルと離婚~「もう付き合い切れない」と思ったら
その他意外によくある?義実家とのトラブル 義実家とのつきあい方に悩んでいる方は多いようです。 結婚によって家族になったとはいえ、そもそもは育った環境もバックグラウンドも違う赤の他人。 生活習慣や考え方の違いなどに戸惑っている方もいるのではないでしょうか。 それだけなら「よくあること」で済むかもしれませんが、なかには「家庭への干渉がひどい」「嫌がらせを受けている」といった深刻なトラブルに悩まされるケース、義実家が原因で...
離婚の慰謝料にも種類がある?慰謝料の種類と計算方法
離婚離婚慰謝料の計算方法 離婚慰謝料は、離婚に至ったことについて相手に落ち度、すなわち相手に離婚原因がある場合に請求できる慰謝料です。 金額の相場は、だいたい数十万円0300万円くらいといわれていますが、実際の交渉や各家庭の事情次第でもう少し高い金額をもらえることもあります。 また、実際に請求できる離婚慰謝料の金額はさまざまな要素を考慮して決定されます。このときの考慮要素としては、相手の行為の悪質度、婚姻期間、相手の財産・...
いったいいくらもらえる?離婚慰謝料の決まり方
離婚離婚するなら避けられない!お金の問題について 離婚することになった場合、避けることのできないのがお金の問題です。子どものいる方であれば養育費、マイホームを持っている人であれば財産分与の関係でマイホームの所有権や住宅ローンなど、さまざまなお金の問題が生じてきます。 そして、相手に離婚の原因がある場合には、離婚の原因を作った側に慰謝料の請求もできます。 特に経済的に不安がある方にとって、離婚時にいくらもらえるかは今後の生活を...