離婚の慰謝料がもらえる場合でも子どもの親権がとれないことがあるってホント?
離婚子どもがいる家庭では親権争いが起きやすい
未成年の子どもがいる家庭では、離婚時に子どもの親権をめぐって争いが起きる可能性があります。
離婚の条件をめぐる争いの中でも、親権は慰謝料・財産分与といったお金の問題と並んで問題になりやすいトピックといえるでしょう。
離婚慰謝料をとれる場合でも親権が認められない場合もある
ここで、注意しなければならないのは、離婚慰謝料と親権の問題は分けて考えなければならないということです。
離婚慰謝料は離婚の原因を作った側(有責配偶者)がもう一方の配偶者に対して支払わなければならないもので、「離婚の原因を作って配偶者に精神的苦痛を与えた」ことに対する償いとして支払われます。
一方、親権は「子どもの幸せのために、どちらに親権を持たせるのが正解か」という観点から決められるものです。したがって、離婚の原因と親権の問題は分けて考えなければなりません。
たとえば不倫が原因で離婚する場合、不倫をした側の配偶者であっても「子どもを愛していて、真面目に子どもの面倒を見ていた」という事情があれば親権が認められる可能性があるかもしれません。一方、不倫相手との関係が子どもに悪影響を与えた、という事情があるのであれば、親権を認めるにはマイナスの考慮要素として働きます。
父親は不利?親権を決める要素とは
親権者を誰にするかは、子どもの今後の生育環境を左右する重要な問題です。そのため、さまざまな要素を総合的に考慮して決められることになります。
なかでも、子どもの意思と安定した養育環境の2点が重要です。これまでの裁判例では「親権争いでは父親が不利」と言われてきましたが、養育環境が整っていれば父親でも親権を獲得できる可能性は十分にあります。
なお、親権の判断に際して考慮される要素としては次のようなものがあります。
母性優先の原則
特に子どもが小さい場合は母性、つまり母親の存在が必要という原則です。「母親が子どもと接する時間が長いことが多いから」という理由で確立したものですが、フルタイムで働く女性も増えた今では以前ほど重視されなくなくなってきています。
育児を積極的に行い、子どもときちんと過ごしているのであれば、父親でも親権を取れる可能性はあります。
継続性の原則
子どもにとって環境の変化は大きなストレス要因になります。できるだけ生活環境が変わらないのが望ましい、ということで、裁判所としてもこれまで子どもの面倒を見ていた側に親権を認める傾向があります。
兄弟姉妹不分離の原則
兄弟姉妹はできるだけ一緒に生活するべき、という考え方から、なるべくどちらか一方の親に子ども全員の養育をさせるべきであるという原則です。
子どもの意思尊重の原則
親権は子どもの福祉のための制度でもあるので、親権者の判断において子どもの意見は重視されます。
15歳以上の子どもの場合は必ず意見を聞かなければならないですし、そうでない場合も十分な判断能力のある小学校高学年の子どもについては家裁もきちんと意見を聞く、という運用が確立しています。
今後の養育環境・子育て体制
親権の判断にあたっては、実際に子どもをきちんと育てられるか、ということも重視されます。
実際の判断では、子育てに時間をかけられるか、親族のサポートを受けられるか、収入はどうかなどの面を考慮して判断されます。
もし親権がとれなかった場合に考えるべきこと
親権がとれなかった場合、子どもの日常生活は元パートナーに任せることになります。その場合、まずは子どもの面会交流についてきちんと取り決めることが重要です。定期的に子どもと交流して絆を深めつつ、養育環境をきちんと整えることで将来的に親権の変更が認められる可能性もあります。
子どもの連れ去りで慰謝料を請求されたケースも
子どもの親権をめぐっては、子どもの連れ去りが問題になることがあります。これは、別居しているパートナーと暮らしている子どもを、勝手に自分のところにつれてきてしまう、というものです。
過去には、別居中に子どもを連れ去ったことでトラブルとなり、連れ去られた側に慰謝料を請求された事例もあります。
違法な連れ去りは刑法上の犯罪に該当しますし、親権の判断にあたっても不利な要素として扱われかねない行為です。
「子どもと一緒に暮らしたい」「子どものことが心配」という気持ちはよくわかりますが、まずは弁護士に相談するなどして冷静に対処しましょう。
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