離婚の慰謝料は強制回収もできる!?慰謝料を踏み倒されないために知っておくべきこと
離婚慰謝料が未払いに!回収はできる?
離婚事件では、離婚の慰謝料や不倫相手への慰謝料といったように、慰謝料の支払いが問題になることがあります。
相手が素直に払ってくれればよいのですが、実際には世の中そういった物わかりのよい人間ばかりとは限りません。「慰謝料を払う」と一度は約束しておきながら、慰謝料を踏み倒すというケースはしばしば見られます。
このような場合には、相手の財産の差押え、すなわち強制執行によって強制的に慰謝料分の金銭を回収することになります。
差押えのできる財産
強制執行とは、「慰謝料の不払い」という債務不履行をした相手の財産を差押さえ、そこから強制的に慰謝料の支払いをさせることをいいます。
強制執行の対象となる財産としては、次のようなものがあります。
- ・建物や土地などの不動産
- ・車、貴金属などの動産(不動産以外の物一般)
- ・給与
- ・預貯金
差押さえられた財産については、たとえ所有者であっても勝手に処分できなくなります。そして、差押さえた側は、差押さえた相手の財産を競売にかけるなどして現金化し、そこから慰謝料分の金銭を回収することになるのです。
ただし、給与については差押えられる金額に上限があります。
差し押さえられる金額の上限は手取り額が44万円以下であれば手取り額の1/4、手取り額が44万円を超える場合は手取りのうち33万円を超えた分です。そのかわり、相手の支払いが終わるまでは毎月差押さえることができます。
また金銭あるいは金銭的な価値のある権利の中には、生活保護費のように法律で差押えが禁止されているものもあります。
差押えをするための条件
ただし、慰謝料の支払いが滞ったからといって、必ずしも差押えができるとは限りません。
差押えをするためには、いくつかの条件を満たす必要があるのです。
債務名義はあるか
差押えをするためには、債務名義といって法的な効力のある書類が必要です。
債務名義として使える書類としては、次のようなものがあります。
- ・執行文つき公正証書(協議離婚の場合)
- ・調停証書(調停で離婚が成立した場合)
- ・判決書(離婚訴訟で判決までいった場合)
- ・和解調書(離婚訴訟を和解で終えた場合)
一方、離婚協議書のような個人間で作成した書類は債務名義にあたらず、たとえ約束が破られたとしてもそのまま相手の財産に対して強制執行をかけることはできません。また口約束で慰謝料を支払うことを約束させた場合も同様です。
相手の財産や勤務先は把握できているか
差押えをするためには、相手の財産を把握しておく必要があります。給与の差押えを検討する場合には、相手の勤め先を知っておくことも大切です。
すでに相手が転職して行方をくらませている場合は、探偵や興信所に頼んで現在の勤務先を調べてもらいましょう。
相手の住所はわかっているか
差押えの手続きでは、相手の住所も必要になります。わからない場合は、戸籍謄本や住民票などを調べる必要があります。
差押えには裁判所での手続きが必要に
差押えを行うためには、裁判所への申立が必要になります。
①差押える財産を決める、②債務名義や当事者の住民票、差押債権目録といった申立に必要な書類を準備する、③地方裁判所に申立を行う、というのがおおよその流れです。
申立てた内容に問題がなければ裁判所が債権差押命令を出してくれますので、無事慰謝料の取り立てができるようになります。
ここで一点気をつけなければならないのは、裁判所がやってくれるのは相手が口座を持っている金融機関などに命令を出す段階までということです。
つまり実際に慰謝料を回収する作業は自分で行わなければならないということになります。
相手の財産を確実に差押えるためには、財産調査などの事前準備が重要になります。もし少しでも手続きに不安がある場合は、一度弁護士にアドバイスを求めてみるのもよいかもしれません。
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